昨日内定者から「不胎化介入って何ですか」という質問を頂いていたので、ブログにもまとめておきます。
今回"不胎化"と"非不胎化"という単語を使っていきます。これは対義語です。"不"に"非"で混乱するかと思いますが、まずは単語を覚えてください。
次に、2010年9月15日に行われた為替介入に関しての記事を紹介しましょう。
介入規模は最大の1.8兆円=日銀、金融緩和姿勢強める
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201009/2010091600771
政府・日銀が急激な円高を阻止するため、外国為替市場で15日実施した円売り・ドル買い介入の規模は1兆8000億円程度で、1日の円売り介入額としては過去最大だったことが16日、分かった。日銀は金融面から政府の円高対策を支援するため、本来行うべき介入資金の回収を行わず金融市場に放置することで、資金供給量の増加を容認する方針。金融緩和姿勢は17日以降一層強まることになる。
介入資金は吸収せず、日常の金融調節でも緩和徹底を模索
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-17268720100916
1.8兆円程度という金額は、日々の資金調節額と比較して「大した金額でない」(日銀関係者)が、介入に伴う資金を金融市場に放置することで市場の資金量を増加させる「非不胎化」は、金融緩和に近い効果を生み出すため、円高阻止の効果を高めるとの指摘もある。
不胎化とは
不胎化政策というのは、日銀などの通貨当局が外国為替市場に介入する場合に、外貨の売買に伴う金融市場の需給の変化を、自国通貨建ての金融資産の売買オペレーション(公開市場操作)によって調節し、市場金利などへの影響を与えないようにすることをいいます。
インフレを「妊娠=胎化」させないということで不胎化となります。
不胎化をもう少し詳しく
為替介入は、すべて政府の外国為替資金特別会計(外為会計)の資金を用いて行われます。この資金は、大別して外貨資金と円資金によって構成されます。
ドル買い・円売り介入の場合、政府短期証券(FB)を発行することによって円資金を調達し、これを売却してドルを買い入れます。一方、ドル売り・円買い介入の場合には、外為会計の保有するドル資金を市場で売却して、円を買い入れることになります。
FBは、基本的に市場で売却されることになっているので、資金調達と同時に市場の資金を一旦吸収します。しかし、為替介入と同時に円が市場へ供給されることになるので、全額が市場調達される場合には市場での資金量の変化は差し引きゼロになります。
ただし、FBを日銀が買い取った(引き受けた)場合は、新たな資金が市場に供給されることになるので、市場での資金量は増加します。
その増加した資金量によって、市場金利に影響が及びます。ベースマネーの増加はインフレ要因となり、ここで日銀が市場の資金量を調整するために、市場から資金を吸収すること(国債の売りオペによってなされる)を不胎化介入と呼ぶのです。
非不胎化とは
非不胎化とは、不胎化をしないということです。為替介入によってベースマネーが増加しても、日銀が市場の資金量を調整しない(吸収しない)ということです。
不胎化・非不胎化を学ぶ上で混乱しやすいこと
以前は、為替介入のための資金は日銀が供給していたので、為替介入により市場に出回る資金量は増加していました。しかし、現在は原則的に為替介入の資金調達は市場で行われています。
ここで一つ大きな疑問が沸きませんか?
為替介入しても市場に出回る円の量は結果的に変化しないのであれば、不胎化と非不胎化では違いがないのでは?と。紹介した以下の記事は何を意味しているのかと。
1.8兆円程度という金額は、日々の資金調節額と比較して「大した金額でない」(日銀関係者)が、介入に伴う資金を金融市場に放置することで市場の資金量を増加させる「非不胎化」は、金融緩和に近い効果を生み出すため、円高阻止の効果を高めるとの指摘もある。
事実、白川方明総裁は著書「現代の金融政策」で以下の様に述べています。
不胎化と非不胎化の区別に意味はない。介入の原資となる円資金は日銀がいったん国庫短期証券(TB)を引き受けて供給するが、政府はその後TBを新たに市中で発行し、日銀が引き受けた分は速やかに償還されるため、日銀の「当座預金に対する影響は中立的であり、介入は自動的に『不胎化介入』となる
そもそも『不胎化介入』と『非不胎化介入』を区別する基準自体がはっきりしないため、為替市場介入の『不胎化介入』と『非不胎化介入』を議論することは、金融政策の運営方針の変更を議論することと同義になる
要するに、今回の件では、介入の効果を少しでも増幅するため、介入資金の非不胎化が行われているかのようなメッセージを、外国人投資家を意識して発信するという目的があったのではないかと思います。
マクロ経済動向は社会心理や群集心理に影響されるとは、良くいったもので非不胎化といえども背景にはいろいろな思惑がうごめいていると言えるのです。










